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インタビュー ニュース 企画記事 2015.12.28

【“ぱんだ”がメジャーデビュー!】上野耕平さん・佐藤采香さんインタビュー

上野動物園にいる、あのパンダ…ではありません。

 

動物園と同じ上野にある東京藝術大学。その学生が立ち上げた吹奏楽団「ぱんだウインドオーケストラ」が、なんと12月16日にCD『PANDASTIC!! 〜Newest Standard〜』でメジャーデビューを果たしたのです!

 

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ぱんだウインドオーケストラは、2011年に東京藝術大学へ入学した学生を中心に結成。同じ年に上野動物園に二頭のパンダがやってきたことから、この団名をつけたのだそうです。

 

演奏技術の高さだけでなく、真剣に吹奏楽に取り組む熱い思いなどにより、メジャーデビュー以前から吹奏楽界では話題となっていました。

 

そんなぱんだウインドオーケストラのコンサートマスターを務めるのが、アルトサックス担当の上野耕平さん

 

日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門で第1位(史上最年少)、そして、特別大賞(内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、東京都知事賞)を受賞した経歴の持ち主。

さらに、2014年には世界最高峰の「第6回アドルフ・サックス国際コンクール」で第2位という快挙を成し遂げました。

最近ではテレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』『題名のない音楽会』など各種メディアでも大活躍です。

 

まさに、サックス界の新旗手である上野さんですが、『PANDASTIC!! 〜Newest Standard〜』リリース当日にミニコンサート「上野Coffee Vol.7」を開催しました。

そこに、ぱんだウインドオーケストラでユーフォニアム担当の佐藤采香さん(今年の日本管打楽器コンクールユーフォニアム部門で第1位!)がゲスト出演するという情報をキャッチ。

 

さっそくオザワ部長はお二人に直撃インタビューを試みたのでした!

 

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−−ついにメジャーデビューアルバム発売。3月20日には記念コンサートも行われるそうですね。そんな期待の新星「ぱんだウインドオーケストラ」が結成されたいきさつからお聞かせください。

佐藤「今、ぱんだウインドオーケストラでトロンボーンを担当している松永遼と指揮者の石坂幸治の会話から始まったことなんです。私たちが東京藝大に入学した2011年の夏ごろ、ちょうどコンクールシーズンですね。私たちは中学や高校の吹奏楽部に指導に行くことがあるんですけど、松永と石坂はコンクールに向けて頑張っている中高生の姿に刺激を受けて、『自分たちも吹奏楽がやりたい!』と思ったそうなんです。それどころか、『吹奏楽コンクールに出たい!』とまで言っていて(笑)」

 

−−東京藝術大学の学生バンドがコンクールに出たらすごいニュースになりそうですね。

上野「最初はそういうノリで話をしていました(笑)」

佐藤「実際にはコンクールには出ていませんけど、それくらい真剣に吹奏楽がやりたい、という気持ちを綴ったメールが私のところに来たんです」

上野「藝大では、管打合奏という1年生だけの吹奏楽の授業があるんです。その最後の授業のときに、いよいよ『みんなで吹奏楽をやろう!』という話になって、翌年4月2日にコンサートをやりました。思い返せば、最後の授業の日がぱんだウインドオーケストラの発足した瞬間でしたね」

 

−−そのときはまだ「ぱんだ」という名前はついていなかったんですか?

佐藤「藝大では、1年生をC(ツェー)年、2年生をD(デー)年というふうに呼ぶんです。なので、楽団名が「ぱんだウインドオーケストラ」に決定するまでは《C年吹奏楽》みたいな名前でした」

 

−−「学年をドイツ音名で呼ぶ」は《東京藝大あるある》なんですね(笑)。

佐藤「はい(笑)。《C年吹奏楽》改め、「ぱんだウインドオーケストラ」の初回のコンサートでは、私たちがやりたかったことをひたすら詰め込んだプログラムをやりました。そのときは、1回だけのつもりだったんですけど−−」

上野「コンサートが終わったときに、みんな『またやりたい』ってなって。そこから、毎年定期演奏会をやるようになったんです。あと、『藝祭』という東京藝大の学園祭でも毎年演奏するようになって」

 

 

−−皆さんの入学年である2011年には上野動物園に「リーリー」と「シンシン」という2頭のパンダがやってきたことから、楽団名を「ぱんだウインドオーケストラ」として活動されるようになったんですね。
ところで、東京藝大や音大に通われている方だと、吹奏楽よりもソロやオーケストラの演奏を重視する傾向があるのかなと思っていました。そんな中、皆さんが敢えて吹奏楽団を結成された理由をお聞かせください。

上野「吹奏楽に愛着もありましたし、音楽としての魅力を感じていたからだと思います」

佐藤「確かに…」

上野「管打合奏の授業に出ていた仲間は、吹奏楽から楽器を始めた人がほとんど。原点ですよね。それをもう一度追求したい、という気持ちになったんだと思います」

 

−−お二人にとって吹奏楽の魅力って何でしょう?

上野「…難しい。難しいっていうことです、吹奏楽のほうが

佐藤「うん、難しい!」

上野「一面においては、吹奏楽のほうがオケよりも難しいんです。オーケストラの編成は弦楽器が多くて、管楽器はソリスティックに並んでいますよね。弦楽器は、多少音程のズレがあったり、タイミングのズレがあっても許容されます。音程は、むしろわずかなズレがあったほうが豊かに響くという特性があります。ところが、管楽器が主になる吹奏楽ではそうはいかない。そこにハードルの高さがあるんですけど、だからこそやりがいを感じるんです。管楽器だけの合奏で音程やタイミングが合うと、本当にいい音が鳴るんですよね。そこに吹奏楽の魅力があると思います」

佐藤「私も、完全に同意します。他の楽器と音を合わせて、何の楽器が鳴っているかわからないくらいにブレンドするのが吹奏楽の特徴で、そこに魅力を感じます」

上野「たとえば、サックスとクラリネットが混ざった何か特異な音、みたいなね」

 

−−特に、佐藤さんのやっていらっしゃるユーフォニアムは木管と金管、高音と低音をつなぐような位置づけだとされていますね。そういったところに面白さを感じていらっしゃいますか?

佐藤「それもありますけど、ユーフォニアムは音楽に動きを与えることができる楽器だというところに面白さがあると思っています。基本は縁の下の力持ちですけど、みんなから気付かれないところで音楽に動きを与えているんです。そこが最高に楽しくて…(笑)」

 

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−−当初は2011年のC年の方たちでぱんだウインドオーケストラを結成されたわけですが、今は後輩も加入してるのでしょうか?

上野「そうです。僕たちの代が一番上で、下は20歳くらいで現役の学生ですね」

 

−−ぱんだウインドオーケストラの特徴は何でしょう?

上野「やっぱり“若さ”ですね。自分で言うもの何ですけど(笑)。それが音に表れているかなと。若い時代にしかできない音楽が『PANDASTIC!!』というCDにも詰まっていると思います。一方で、そういう若さあふれる音楽が、年齢を重ねるごとにどう進化していくかというのも自分としても楽しみです。年1回の定期演奏会をやっていたころは、演奏会前に集まるたびにそれぞれ格段にうまくなっていました。それを一つに融合して合奏するのがメチャメチャ楽しかったですね」

 

−−皆さんにとっては演奏家として大きく進化する時期ですよね。また、“若さ”や“そのときしか出せない音”という点では、中学高校の吹奏楽部にも共通するところがありますね。皆さんは中高生とも年齢が近いですし。

佐藤「そうですね。中学生や高校生に目標にされたり、憧れられたりする存在でありたいです。それから、音大生というとみんながライバル同士で競い合っているイメージがあるかもしれないですけど、私たちの代はみんなが仲良しで…」

上野「協調性があるよね」

佐藤「だからこそ、ここまで楽団が続いてきたと思いますし、仲の良さも音楽に表れていると思います」

 

−−話題のCD『PANDASTIC!!』ですが、「特にここ!」という聴きどころを教えていただけますか?

佐藤『あまちゃん オープニングテーマ』はオリジナルアレンジで、出だしからとても楽しい演奏になっています。PVでもそれが確認できると思います(笑)。ぜひ聴いていただきたい一曲です」

 

 

上野「あとは、やっぱりアニメ『響け!ユーフォニアム』の主題歌『DREAM SOLISTER』ですね。ユーフォの女の子が主人公のアニメですので、佐藤采香によるユーフォニアム・コンチェルトになっています」

佐藤「ユーフォにとってはきついアレンジです(笑)」

上野「簡単に吹いているように聞こえるんですけど、実は技術レベルが非常に要求されるアレンジになっているんです」

佐藤「本当に、かなり難しかったです(笑)」

 

−−そして、3月20日には東京藝術大学奏楽堂にてぱんだウインドオーケストラのCD発売記念コンサートが開かれるんですよね。

上野「最高の夜になると思います! CD収録曲だけでなく、名曲中の名曲である『アルメニアン・ダンス パートI』(リード)や人気の『宇宙の音楽』(スパーク)も演奏します。そして、客演指揮者として山田和樹さんが2曲振ってくださいます。そのうちの1曲がガーシュウィンの『ラプソディー・イン・ブルー』。非常にユニークな編曲になっています。世界初演です。注目のピアニストは後日発表。吹奏楽にしかできない『ラプソディー・イン・ブルー』をお届けしますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います」

佐藤「全部言われてしまいました(笑)。付け加えるなら、3月20日は上野動物園の開園記念日で、入園無料。上野動物園の表門にある2016年版のスタンプを公演チケットの裏面に押してきてもらうと、会場で先着で記念品をプレゼントすることになっています。ぜひその日は、パンダを見てから“ぱんだ”を聴きにきてください」

上野「超おすすめのコンサートです!」

 

−−では、吹奏楽部で毎日頑張っている中高生に向けて何かメッセージをいただけますか?

上野「僕も小学校と中学校で吹奏楽をやっていました。今の吹奏楽部員の人たちに伝えたいのは、部内だけでなく、外にも目を向けてもらいたい、ということですね。コンサートに行ったり、CDで吹奏楽だけじゃない幅広い音楽を聴いたりして、吸収したことを部活で活かしてほしいと思います。《部活をしている》《吹奏楽をしている》だけではなく、《音楽をしている》という広い意識も持ってもらえたらいいなと思いますね。僕自身、吹奏楽をやりながらオーケストラを聴きまくりました。ジャズやロックも好きでした。クイーンとかね」

佐藤「私は逆にユーフォニアム奏者のCDばっかり聞いていたので、すごい狭いんですけど…(笑)」

上野「そんなことないでしょ(笑)!」

佐藤「毎晩、外囿祥一郎さんのCDを聴きながら眠りについていました。私は中学校と高校で吹奏楽をやっているとき、吹奏楽そのものが楽しかったというより、ユーフォニアムの音そのものが大好きで続けていたんです。やっぱり狭い〜(笑)」

 

−−上野さんのおっしゃったように広い視野を持つことも、佐藤さんのように一点を突き詰めていくことも、どちらも素晴らしいことですよね。いずれにしても、自分なりの音楽の楽しさを見つけていくことが大事ということでしょうか?

佐藤「そうですね。中高生を指導しにいくと、つらそうにやっている子たちを見かけることがあります」

上野「部活としての吹奏楽部では常に結果を求められるし、その重圧を先生や先輩からかけられて、つらそうに見えるんじゃないかと思います。だからこそ、視野を広く持つのでも、一点を突き詰めるのでもいいから、《何が自分にとって楽しいのか》を見つけて、《音楽》を楽しんでいってもらいたいですね」

佐藤「ぱんだウインドオーケストラだけに限らず、コンサートにはぜひ足を運んでもらいたいです」

上野「そう。練習だけしていてもうまくはならない。聴くことも楽器の上達にはすごく大切なので、積極的にコンサートを聴いてもらいたいなと思います」

 

 


 

頭の回転がとても早くて、常に的確な回答をしてくださる上野さん。そして、内省的で、一つ一つの言葉を大切にしながら語ってくださる佐藤さん。

お二人とのトークはとても楽しく、また、刺激的なものでした。

 

インタビューの後には、「上野Coffee Vol.7」のコンサートも観せていただきました。

 

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上野さんのソロ、佐藤さんのソロ、そして、上野さんと佐藤さんのデュエット、というようにお二人の演奏を満喫できるプログラム(ピアノは黒岩航紀さん)。

オザワ部長はサックスをやっているので、上野さんの超絶技巧や表現力の豊かさ、多彩さには圧倒されました。まさに若さいっぱいの軽快でハツラツとしたサウンドは超一級品!

一方、佐藤さんのユーフォニアムも、上野さんが「日本が世界に誇るユーフォニアム奏者」と紹介しただけあり、柔らかく豊穣な音色が本当に素晴らしい。ときにゆったりたゆたうように、ときに全速力で駆け回るように、緩急の両方を堪能させてくれました。

 

●上野Coffee Vol.7 曲目
 01. スカラムーシュ(ミヨー)
 02. オーヴェルニュの歌より(カントルーブ)
 03. パントマイム(スパーク)
 04. 天使の糧(フランク)
 05. クリスマス・メドレー(古屋沙樹編曲)

 

このお二人に加えて、将来の日本の音楽会を背負って立つ若き才能が結集したぱんだウインドオーケストラ。

ぜひそのサウンドをCD『PANDASTIC!!』で、そして、コンサートでお聴きください!

 

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PANDSTIC!! 〜Newest Standard〜

販売価格/ 2,700円
レーベル/日本コロムビア
http://columbia.jp/pwo/

 01. イジメ、ダメ、ゼッタイ
 02. 「スター・ウォーズ」メイン・タイトル
 03. DREAM SOLISTER(ユーフォニアム・ソロ: 佐藤采香)
 04. 走れ!
 05. Dragon Night
 06. ひまわりの約束
 07. あまちゃん オープニングテーマ
 08. 千本桜(ソプラノサクソフォン・ソロ: 上野耕平)
 09. NIPPON
 10. PANDASTIC!!<BONUS TRUCK>

 

 

ぱんだウインドオーケストラ CD発売記念コンサート

2016年3月20日(日) 開場/18:30 開演/19:00
東京藝術大学奏楽堂
全席指定(税込) S席4,000円/A席3,000円/学生券2,000円(限定100枚)

石坂幸治(指揮) 山田和樹(ゲスト・コンダクター) 上野耕平(コンサートマスター)

チケット発売中!
取り扱い・問い合わせ
コンサートイマジン http://www.concert.co.jp
イープラス http://eplus.jp

 

 

ぱんだウインドオーケストラ 公式サイト

 

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